プロ1年目以降は苦戦が続く野村勇(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)
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 今年のプロ野球で最もブレイクした選手の1人と言えば水谷瞬(日本ハム)になるだろう。ソフトバンクでの5年間では一軍出場がなかったものの、昨年オフの現役ドラフトで日本ハムに移籍すると5月以降は一軍に定着。セ・パ交流戦では史上最高打率となる.438をマークしてMVPも受賞したのだ。

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 そして水谷以外にもソフトバンクから他球団に移籍したことをきっかけに活躍している選手が目立つ。昨年は同じく現役ドラフトで移籍した大竹耕太郎(阪神)が12勝2敗、防御率2.26という成績でチームの日本一に貢献。今年もローテーションの一角としてチームに欠かせない存在となっている。また近藤健介のフリーエージェント(FA)による人的補償で移籍した田中正義(日本ハム)も昨年クローザーに定着して25セーブをマーク。今年も一時はセットアッパーとしての起用はあったものの、ブルペンの中心として活躍している。またウォーカーとのトレードで巨人に移籍した高橋礼、泉圭輔の2人も貴重な戦力となっていることは間違いないだろう。

 毎年積極的な補強を繰り返していることから選手層の厚さは12球団もトップと言われており、まだまだ他にもその中に埋もれている選手はいるのではないだろうか。他球団から見れば“宝の山”とも言えるソフトバンクのファームで、今後ブレイクの可能性がありそうな選手を探ってみたいと思う(成績は7月19日終了時点)。

 まず真っ先に名前が挙がるのはやはりリチャードになるだろう。育成ドラフトでの入団ながら、持ち味の長打力を生かして3年目の2020年に支配下登録されると、2021年には一軍で7本塁打を放っている。その後はなかなか結果を残せずに二軍暮らしが続いているが、2022年にはウエスタン・リーグ記録を更新するシーズン29本塁打を放つなど、そのパワーは大きな魅力だ。一軍定着を妨げているのは確実性の乏しさで、今年も二軍ではトップのホームランを放ちながら打率は2割台前半となっている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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