また山川穂高が加入したことも出場機会が限られる要因と言えるだろう。ただ長打力は誰もが認めるところであり、得点力不足に悩む球団にとっては垂涎の存在であることは確かだ。ソフトバンクとしても育成から育ってきた選手だけに簡単に手放したくないという気持ちは強いと思われるが、今のまま二軍暮らしが続いてしまうのであれば、あまりにももったいないと感じている関係者も多いのではないだろうか。
野手でもう1人もったいない存在となっているのが野村勇だ。2021年のドラフト4位で入団すると、ルーキーイヤーには97試合に出場し、打率こそ.239ながら43安打、10本塁打、10盗塁と見事な活躍を見せた。しかし昨年は怪我もあって大きく成績を落とすと、今年もキャンプ中の故障で出遅れ、ここまでわずか3安打、打率.130という寂しい数字に終わっているのだ。ただ内野であればどのポジションも守ることができ、パンチ力と脚力を備えているというのは非常に貴重な存在である。このままベンチを温めていることが多くなるようであれば、他球団から獲得の打診があってもおかしくはないだろう。
一方の投手では笠谷俊介の名前を挙げたい。2014年のドラフト4位で入団し、2020年には4勝、2021年には3勝をマーク。しかしその後の2年間は一軍で0勝に終わり、今年もキャンプこそ一軍スタートだったものの、ここまで二軍暮らしが続いている。ただ二軍での成績を見てみると昨年はリリーフで28試合に登板して防御率0.96、今年は先発に回ってチーム3位となる57イニングを投げて防御率2.37と安定した数字を残しているのだ。コントロールに少し不安はあるものの、ストレートは140キロ台後半をマークし、変化球も一通り操ることができる。今年でプロ10年目、27歳という年齢を考えても選手としての“旬”の時期はそこまで長くないだけに、今年の残りのシーズンが非常に重要になってくるだろう。