「企業にとっては入社してもらうことがゴールではありません。入社後、会社に定着して、活躍してもらわないと採用コストや教育コストも無駄になります。企業にとって最も悩ましいミスマッチを防ぐためにも、入り口段階の面接でしっかり相互理解を深め、十分納得した上で入社してもらうことが重要です」

 働き手が豊富だった時代、企業は優秀な人材だけを集めればよかった。しかし、働き手がどんどん減っていくこれからの時代は、働く個人の強みを企業側が最大限引き出し、生かしていかないと事業を回せなくなる。栗田さんはこう強調する。

「そのことに気づいていない企業は、相変わらず上澄みの人材のみをすくい取ろうとする『上から目線の面接』をしてしまいがちです。今後は就活生のこれからの人生やキャリアに自社はどんな可能性を提供できるのかを真剣に考えて向き合わないと、応募さえしてもらえなくなる企業が増えるのは確実です」

 面接で「見られている」のは企業側、面接官のほうであることを肝に銘じる必要がありそうだ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2024年7月22日号より抜粋

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