「企業にとっては入社してもらうことがゴールではありません。入社後、会社に定着して、活躍してもらわないと採用コストや教育コストも無駄になります。企業にとって最も悩ましいミスマッチを防ぐためにも、入り口段階の面接でしっかり相互理解を深め、十分納得した上で入社してもらうことが重要です」

 働き手が豊富だった時代、企業は優秀な人材だけを集めればよかった。しかし、働き手がどんどん減っていくこれからの時代は、働く個人の強みを企業側が最大限引き出し、生かしていかないと事業を回せなくなる。栗田さんはこう強調する。

「そのことに気づいていない企業は、相変わらず上澄みの人材のみをすくい取ろうとする『上から目線の面接』をしてしまいがちです。今後は就活生のこれからの人生やキャリアに自社はどんな可能性を提供できるのかを真剣に考えて向き合わないと、応募さえしてもらえなくなる企業が増えるのは確実です」

 面接で「見られている」のは企業側、面接官のほうであることを肝に銘じる必要がありそうだ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2024年7月22日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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