「些細なことですが、例えば、外国人を『外人』と言う人がいれば、人権意識が低い会社なのかな、と考えて敬遠する気持ちになることもありました」

新卒は丁寧にやさしく

 前出の役員男性も、自身がたばこを吸わないこともあり、たばこの匂いのする面接官がいると、その会社は辞退する気持ちになった、と吐露した。役職柄、自分が面接官になる場合もあるというこの男性は、こんな心得を説く。

「面接官は応募者と対等。絶対に上から目線では話しません。特に新卒の就活生は丁寧にやさしく接しないと、相手が固まってしまいますから物腰にも細心の注意を払います」

 今までの学生生活で全く縁のない会社の一室に呼び出され、両親よりも目上の大人たちの前に座らされて根掘り葉掘り聞かれるかもしれない面接は、新卒の就活生にとってストレスでしかないのはよく分かる。

「新卒の就活生には特に、面接でリラックスしてもらうことが重要です。面接で話しやすい雰囲気をつくれるかによって会社の印象はがらりと変わります」

 こう強調するのはリクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長だ。面接で逆質問がしにくい企業は、企業側が聞かせない雰囲気をつくってしまっているケースが多いと指摘する。

「個人にとってはこの職場であれば自分の将来を託せると思えるか、企業にとっては本当に活躍してくれる人なのかを見定め合うのが面接です。そのために気になる点を質問し合うのは本来あるべき姿だと思います」

 構造的な人手不足に伴い、とりわけ新卒採用が困難になる中、企業によっては面接の目的は「選考」よりも「動機づけ」の比重を高める傾向もあるという。面接の途中で、この人にはぜひ入社してもらいたいと感じた人材には、残りの時間を費やして応募者が希望する勤務地や身に付けたいキャリアなど内定を受諾する動機づけにつながるポイントを聞きだす必要がある。このため、「対等な関係で相互に理解し合える場づくり」という意識で面接を設定する企業が増えているという。

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