安倍元首相の法要に参列した世耕氏(中央)
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 安倍晋三元首相が参院選の遊説の最中に凶弾に倒れてから丸2年の7月8日、事件現場となった奈良市の近鉄大和西大寺駅前に献花台が設けられた。自民党の国会議員ら約30人が花をたむけ、安倍元首相の写真に向かって手を合わせて黙とうした。

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 参列したのは、多くが安倍派の参院議員だが、西大寺駅の駅前交差点から議員たちを引き連れるように先頭で現れたのは、安倍派の裏金事件で自民党から離党勧告を受け、現在は無所属となっている世耕弘成・前党参院幹事長だった。

 交差点を渡る際、世耕氏は笑顔も見せつつ事件現場の方向を指さして、歩を進めた。その後、議員たちは、事件現場に近い西大寺で行われた法要に参加。僧侶が読経する中、手を合わせた。

 法要終了後、議員たちの先頭で登場したのは、やはり世耕氏。報道陣の問いかけに、
「有志が集まっていかれるというので、慰霊のために参加しました」
「私は無所属ですから」
 などと語った。

「マスコミもたくさんいて上機嫌」

 参加していた国会議員の一人に話を聞くと、
「自然発生的な集まりですが、自民党を追い出された形の世耕氏が参加というのはまあ、特別扱いですね。先頭を歩き、黙とうでも最前列の真ん中にいたのは、参加メンバーの中では格上ということで、逆らうと怖いということでしょう。国会以外で安倍派の大勢の議員と会うのは裏金事件以来、なかったはずで、マスコミもたくさん来ており、上機嫌でした」

 来年夏に参院の改選時期を迎える世耕氏は、かねて衆院へのくら替えの意思があると言われてきた。無所属になってからは地元の和歌山県に戻って、挨拶回りに余念がないという。

 次期衆院選で、和歌山は小選挙区が3から2に減る。そのうち、新和歌山2区は、裏金事件をきっかけに政界引退を表明した二階俊博元幹事長にかわって、二階氏の三男・伸康氏の出馬が決まった。一方、新和歌山1区は、いったんは鶴保庸介元沖縄北方担当相が参院から転出することが決まっていたが、世耕氏の処分で和歌山の自民党参議院議員が不在になることなどから白紙に。現在和歌山2区の石田真敏元総務相は比例転出が決まっている。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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