世耕氏に「新1区待望論」
6月30日、自民党和歌山県連の大会で、伸康氏のお披露目があった。同時に、二階氏の県連会長退任、石田氏の会長就任も決まった。
だが、新1区の候補予定者は未定のままだ。
2023年の衆院補選和歌山1区では、維新の林佑美氏が、自民党候補を破って当選した。自民党にとって、新和歌山1区が厳しい選挙戦となることは間違いない。
「自民党から誰が出馬しても、苦戦が予想されます。そこで、衆院転出の意向がかねてから強い世耕氏に無所属で1区から出馬してもらい、実質的には自民党が後押しする。維新vs.自民党プラスアルファという構図に持ち込む。世耕氏の実力、知名度をもってすれば当選する可能性は大だ」
と和歌山県連幹部は期待する。ただ、懸念もあるという。
「世耕氏の本音は新和歌山2区からの出馬です。そうなると保守分裂でとんでもない選挙戦になりますし、それどころか無所属の世耕氏を維新がバックアップすることもあるでしょう。それはなんとか回避しなければならない。世耕氏が1区で当選すれば、自民党復帰の目もあり、悪い話ではない。参院を無所属で闘うとなれば、選挙区も広く、カネと組織など非常に厳しいものがある。だから世耕氏も『新1区待望論』はまんざらではない様子で、ずっと和歌山で地元まわりをしているのだと思う。二階元幹事長が政界引退を表明したタイミングで影響力も落ちるはず。世耕氏が衆院転出するチャンスは今しかない」
だが、世耕氏は自民党の裏金問題の中心にいた人物だ。世間はそれほど簡単に、自民党の裏金問題を許すだろうか。
安部元首相への献花の後、取材に応じた山本順三元国家公安委員長に対して、裏金問題についても質問が及んだ。「安倍元首相はキックバックをやめようと言っていたのに、なぜやめなかったのか」と問われた山本氏は、
「安倍元首相が銃撃事件に遭い、その後、思いを実現できなかったことは反省しなければなりません」
と頭を下げるしかなかった。