七夕の東京都知事選は、現職の小池百合子氏の圧勝で幕を閉じた。
広島県の前安芸高田市長石丸伸二氏、立憲民主党などが推した前参院議員の蓮舫氏など、有力候補を相手に勝ち切った小池氏。当選を決めた後のインタビューで、政党との関係について問われると、
「私は1回目(の都知事選)から政党の推薦なしに、都民の推薦で闘ってまいったところでございます」
と政党との距離を強調した。
だが、推薦はないものの、政権与党の自民党、公明党は支援を表明し、両党が小池氏の支援に動いていたのは事実。
小池氏の勝因について、
「自民党の支援がありながら、小池氏がそれを隠すことに徹したことでしょう」
と話すのは、公明党の幹部だ。
自民党は裏金問題を受けて逆風が吹き、4月の衆院補選などで敗戦が続いている。都知事選と同時に行われた都議補選でも、自民党から8人が立候補し、当選は2人だけ。自民党の東京都連会長を務める萩生田光一・前政調会長の地元、八王子市でも敗れた。
萩生田氏は自民党の裏金事件に安倍派5人衆の一人としてかかわり、1年間の党役職停止処分を受けた。処分のため役職に就けないはずなのに、今も自民党東京都連会長の座にあるのは、萩生田氏と親しい岸田文雄首相の意向があるといわれる。
東京選出の自民党衆院議員がこう話す。
「小池氏は自民党時代、清和会(安倍派。当時は森派)に所属していたことがある。それもあって萩生田氏と小池氏は良好な関係だ。支持率が低迷する自民党は、4月の3つの衆院補選で一つも勝てず、都知事選でも独自候補擁立ができなかった。そこで現職の小池氏をバックアップして自民党の勝利を演出する作戦に転じた。岸田首相は小池氏と親しい萩生田氏に任せたかったので、都連会長続投については『地方組織のこと』と黙認した」