遊説とネットを使った選挙戦で小池氏に次ぐ得票を集めた石丸氏

「自民党がしゃしゃり出ればチャンスがあった」

 石丸氏の選対で事務局長を務めた選挙プランナーの藤川晋之助氏は、こう話す。

「石丸氏にもしチャンスがあるとしたら、小池氏側で、学歴詐称のようなスキャンダルが再燃するか、自民党がしゃしゃり出て政党色を出した選挙をやるか、その2つだと思っていた。自民党もウラでは小池氏の応援をしていたが表面的にはまったく見えなかった。小池氏はまさに安全運転で選挙を乗り切った」

 そして、藤川氏はこう続けた。

岸田首相にすれば、9月の総裁選を控えて、自民党は小池氏推しだとアピールして、少しでも支持率回復の材料になればと思ったんでしょう。けど、都議補選でも結果が出せずに自民党批判がまだまだ強いことが明白になった。小池氏にしてみれば自民党支援は、逆効果になるのは明らか。自民党色を出さず、情勢調査の数字をにらみ、“守り”に徹することで、確実に王座防衛する。小池氏の作戦勝ちです。逆に、蓮舫氏は立憲民主党に加えて共産党といった政党が前に出る戦略で惨敗した。立憲民主党が中心の野党では政権交代は無理ということが突き付けられた選挙でした」

(AER dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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