トリニティ/「熱中症対策リモートワーク推奨デー」を導入している「トリニティ」の星川哲視社長(写真中央)。「社員の健康維持と業務の効率化」の最適解を模索中だ(撮影/横関一浩)
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 4日、東京都心で今年初の猛暑日を記録。去年より6日早い観測で、3日には環境省と気象庁による熱中症警戒アラートが発表されていた。熱中症対策には、屋外での運動は避け、適切な水分補給や塩分補給、栄養補給や睡眠も大事だ。そんな熱中症にまつわる過去の人気記事を振り返る(「AERA dot.」2023年9月6日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。

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 地球沸騰化時代が到来し、働き方も変化を余儀なくされている。猛暑に対応した制度を導入する企業も出てきた。AERA 2023年9月11日号より。

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 キャリアに関する相談サービスを手がけるライボ(東京都)の調査機関「Job総研」が今年7月に実施した「夏の働き方実態調査」で、猛暑はビジネスパーソンの仕事の「やる気」にも悪影響を及ぼしている実態が浮かんだ。

38度超えでリモートに

 夏の暑さは仕事のやる気の減少に「影響する」と回答した人は全体の88.8%。夏バテによって仕事に影響した「経験あり」と回答した人は51.8%と過半数。夏場に仕事のやる気が最も低下する理由は「気温が上がるから」が圧倒的に多く、88.6%だった。

 理想の夏の働き方については、「必ずテレワークで働きたい」「テレワークで働きたい」「どちらかといえばテレワークで働きたい」を合わせた「テレワーク派」が66.3%に上る一方、実際の夏の働き方は「出社のみ」が39.4%、「出社多め」が14.3%、「どちらかといえば出社多め」が14.9%と7割近くが「出社派」で、理想と現実のギャップがくっきり。回答者の自由記述コメントの中には、「特に今年の夏は異常な暑さなのに出社しか選べないのはおかしい」「出社して体調やパフォーマンスに影響が出るのならテレワークで快適に仕事をする方がいい」といった意見もあった。

災害級」と言われる暑さの中、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴って出社を促す「オフィス回帰」も進んだ。一方で、猛暑に対応した働き方を模索する動きも出ている。

 昨年7月から猛暑に対応した「熱中症対策リモートワーク推奨デー」を導入しているのは、スマホアクセサリーの製造販売を手掛ける「トリニティ」(埼玉県新座市)。星川哲視社長はこう断言する。

「社員の満足度を高め、人的資源を大事にしなければ会社は成長できません。社員が健康を損ないかねない気象状況で出社を強制するのは、生産性の面からもマイナスだと考えています」

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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