青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムの様子(写真:青山学院大学社会情報学部提供)

「学ぶ姿勢」はポジティブに生きる糧にもなる。

 今春から東京大学公共政策大学院で学ぶ都内の会社員女性(39)は、保育園と小学校の子の育児も抱える。子どもを寝かしつけてから毎日深夜2時頃まで勉強という超ハードな日々。授業帰りの電車内で寝落ちすることも。だが、疲れていても充実感はある。

「やりたかった勉強、情熱をもって学べる分野だから続けられているのだと思います。だから、時間効率重視でサクサクこなすのはもったいない、という気持ちもどこかにあるんです」

 録りためたNHK朝ドラ「虎に翼」を観るのが一番の息抜き。ヒロインの奮闘や成長に勇気をもらい、自身を鼓舞するエネルギー源にもなっている。

 大学院などで学び直しをする社会人学生の中で今、存在感を増しているのが女性とシニアだという。

「かつては40代までの男性が中心でしたが、今はほとんどの分野で男女差は少なくなっています。50~60代のシニアも珍しくありません」

 こう話すのは、リカレント教育の専門家、リクルート進学総研の乾喜一郎主任研究員だ。

 働く女性の増加や、定年後も働くのが当たり前になる中、学び直しに意欲的な社会人の層は多様化している。それに伴い、大学側も社会人向けプログラムを充実させ、求める学生像を明確に打ち出すようになったのが、ここ数年の「最大の変化」だと乾さんは指摘する。逆の言い方をすれば、十分な準備やリサーチを行うことで自分の関心や目的、好みに合致する、納得のいく学びの場と出合える可能性が高まっている、というわけだ。

履修証明プログラムが

 社会人向けの学びの場として近年、充実度を増しているのが「履修証明プログラム」だ。再就職やキャリアアップに役立つプログラム、体系的な知識や技術の習得を目指す課程など、一定のまとまりのある学習プログラムを各大学が開設している。修了者には学校教育法に基づく履修証明書が交付される。

 青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムもその一つ。ワークショップデザイナーとは「コミュニケーションの場づくりの専門家」。会社組織、医療、福祉、教育、地域コミュニティー、アートなどさまざまな場で、コミュニケーションを基盤とした参加体験型活動プログラム(ワークショップ)の企画運営を専門として行う人材の養成が目的だ。約3カ月間、計120時間の授業はオンラインのみのコースも選べる。

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