立教セカンドステージ大学の授業の様子(写真:立教セカンドステージ大学提供)

 50歳以上のシニアのために創設されたのが立教大学の「立教セカンドステージ大学」。人文学的教養の修得を基礎とし、「学び直し」「再チャレンジ」「異世代共学」を目的に掲げる。修業年限は1年で、学部学生と一緒に全学共通科目を受講したり、学部学生の授業にコメンテーターとして参加したりするなど、若い世代との交流の機会もある。すべての受講生がゼミに所属し、担当教員の指導を受けながら修了論文を作成する。

 高知大学の土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業も履修証明プログラムだ。主に高知県内の社会人向けに、食品産業における生産・加工・流通・販売を総合的につなげることができる専門人材「フードビジネスクリエーター」を育成する。

 社会人の学び直しには専門職を対象にしたニッチな分野も用意されている。日本福祉大学には、里親支援に関心のある人を対象にした人材養成プログラムや、性犯罪の被害者のケアをする看護師を対象にした人材養成プログラムがある。

公開講座やセミナーも

 学びの入り口になりそうなのが大学で開催している一般向けの公開講座やセミナーだ。興味のあるテーマや内容のプログラムがあればお試しで参加し、「面白そう」と感じた講師が担当する社会人向けの大学院などを探すのもいい。

 中でも丁寧なキャリア支援で注目されるのは、武庫川女子大学のリカレント教育「ムコノアプラス」だ。幅広くDX人材を育成しキャリアアップや成長分野への移動を支援するため、仕事に必要なスキルに特化した150以上の専門講座をそろえる。プロのカウンセラーが常駐し、受講中のキャリア相談や仕事の悩みにも応じ、転職先や再就職先の紹介も行う。

 大学院で本格的に学ぼうとする場合気になるのは学費。乾さんによると、通学が必要な大学院の場合、入学金と授業料を合わせて2年間で250万~350万円が相場。オンラインや通信制の大学院だと2年間で50万~100万円で収まることが多いという。ただし、仕事につながる大学院の修士課程の場合、社会人学生は国の「専門実践教育訓練給付金」(2年間で最大112万円)を受給することが可能だ。乾さんは「雇用保険に3年以上加入するなどしていれば認められる、この給付金制度は絶対に活用すべき」と強調する。

 社会人向け大学院は一般的に間口が広いのも特徴という。

「研究計画書や職務経歴書と面接がベースです。ビジネス系は特に仕事で培ってきた問題意識が重視されるため、専門科目や英語をガチガチに勉強する必要はありません」(乾さん)

(編集部・渡辺豪)

AERA 2024年7月8日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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