ただ、私は少しだけ危うさを感じることがあります。リーマン・ショック以降、世界中で大規模な金融緩和を行ってきたこともあり、金融政策による株価変化の説明力が上がっているという研究があることです。言い換えると、投資家の期待通りに金融緩和をするかしないかで、投資リターンが決まりやすくなっており、企業の個別の頑張りによる株価への影響力が小さくなっているということです。つまり、金融市場の予想に反してアメリカが金融緩和をしないとなれば、一気に株価が崩れる可能性を秘めているということです。そこで、金融緩和をする・しないという一時的なイベントに振り回されないためにも、長期投資が重要であり、5年以内に使う予定のあるお金で投資することは、私はお勧めしないです。

 もう一つ押さえておきたいのは、税金です。新NISAは無税と考えている方がいますが、違います! 米国株や米国投資信託の配当金を得た場合、新NISAのおかげで日本の20.315%の税金はかかりません。しかし、日本での税金がかからないことで二重課税ではなくなるため、米国に対して払うべき10%の税金が発生するのです。オルカンS&P500が最強のような風潮はありますが、米国株ばかりに投資をすると、税金はかかるは、もしもの時に損益通算はできないわ(新NISAは投資で損が出ても、利益と相殺できない)で、往復ビンタのような状況になりかねないだけに、米国株だけでなく、他国の株や、債券、コモディティなど、景気に対して違う動きをしやすい資産を組み合わせることは重要だと思います。

投資には癖がある?男女別の傾向とは

 投資と向き合うためには、ついやってしまいがちな癖も把握しておくことが重要です。私は、男女差にも注目すべきだと考えています。最近の研究*1によると、平均的には、男性は高リスク高リターンの投資商品を好むのに対し、女性はリスクを避ける傾向が報告されています。その背景は、男性と女性には情報処理スタイルの違いがあり、女性の方が慎重な投資判断を下すことが影響しているようです。この結果だけを見ると、男性の方が女性よりも投資リターンの恩恵を受けやすいように思えます。

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ
次のページ
やはり手数料は重要