▽対応した従業員や職員をしれっとスマホで撮影する
▽「こういうミスはよくあるの?」と聞き、従業員が「めったにありません」と答えると「ふーん、たまたま私だったんだ? で、どうして私だったの?」とジワジワ詰め、終わりのない問答を何時間も繰り返し従業員を追い込み続ける
といった陰険ねちねち型。
▽購入した服を数回着て少ししわや汚れもついているのに、「やっぱり気に入らなかった」と当然のように返品する
といった開き直りの完成型。
「従業員が怖くて電話に出られなくなってしまったり、実際に精神を病んで通院したりしたケースも数え切れません。従業員が疲弊し離職者が増え、就職希望者は減る。その結果、生産性がどんどん下がってしまう。やっと、という思いはありますが、企業などが対策を強化し始めたことは、社会にとって良い流れであることは間違いありません」(戸田さん)
しかし……。
一体、どんな人物がこうしたカスハラをしてしまうのか。行為の現場を見られたり知られたりしたら、周囲から人が去っていくだろう。
「ディズニーは夢の国だから、なんでもしてくれる」
戸田さんは、
「世の中の人がみんな、カスハラをしてしまうリスクがあるとは考えていません。もしそうだったら、社会が成り立たなくなりますよね。カスハラをするのはきわめて一部の人に限られると思います」
と指摘する。
戸田さんによると、人間は「~は~であるべき」という期待を打ち破られたときに怒りを感じるのだという。
ただ、誰だってお金を払って物を買ったり、サービスを受けたりするときは、お金を払った価値を満たしてくれる期待は持っているはず。
問題は、その「~べき」の程度だ。
「腹が立った」を通り越してカスハラをしてしまう人は、客としての権利意識にゆがみのようなものがあるという。自分の「~であるべき、は絶対に認められるべき」という、強固な承認欲求が垣間見えることもある。
「顧客第一主義をはき違えていて、『サービス業の従業員に何を言っても、客には絶対に反撃できない。客は神様であるべきなんだ』などと勝手に優位に立ってしまう人。ディズニーランドを例に挙げると、『ディズニーは夢の国だから、なんでもしてくれる。来園者を満足させるために、どんなことでもするべき』と本気で思い込んでいる人も実際にいました」と戸田さん。