これだけ凡人と価値観が違えば、偏差値を競う風潮や受験勉強レベルの成績自慢には違和感しかないのだろう。
SNSに投稿した「MARCH呼び」への批判は、予備校をはじめとする受験産業や偏差値競争で視野が狭くなった社会に向けたものだという。
最大公約数でまとまろうとする日本社会へのアンチテーゼでもある。だが、がんばっている受験生には「世界は広い」とエールを送っている。というのも、茂木さんは「海外逃亡」と呼ぶ留学のチャンスを何度か逸しているからだ。
「まず高校時代。ボランティアに支えられながら米国留学できる『AFS』という制度があったのに、断念したのが最初です。
次は大学進学のとき。『グルー・バンクロフト基金』という、戦前の駐日米国大使2人の名を冠した奨学金制度を利用して米国の大学に行こうとしたら、なぜか担任に阻止されました。
そして東大在学中にも、やはり奨学金の選考にパスして渡米しようとしましたが断念。
結局は東大理化学研究所に在籍中、当時の中曽根康弘首相の提唱ではじまった『ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム』を通じてケンブリッジ大学に留学しました」
茂木さんは留学までの経緯を思い出しながら「不器用というか、長くかかるようです。でも、意外に諦めないというか」と笑った。
受験生に送ったエール「世界は広い」は実体験から来るメッセージなのである。
売れ筋ランキングもよくない
「日本人は売れ筋ランキングが大好きなのも、あんまりよくない」と。「みんなが買っているからきっといいだろうではなく、自分で考えるようにしたほうがいいですよ」。
同調圧力というか、何というか。
『週刊文春』が報じた松本人志さんのスキャンダルについても、「みんながたたいているから私も系」が多かった。
「週刊文春の元編集長の新谷学さんと2回ほど対談したことがあります。新谷さんは『文春はこの人はこんな人だってことを書くだけ。どう受け止めるかは世間の側』と」
「世間の側」は、まんまとヒートアップした形である。茂木さんは松本人志さんに関するネガティブ投稿をどう思うのか。