東大安田講堂(撮影:写真映像部・東川哲也)
この記事の写真をすべて見る

 2024年度になり、大学の高校別合格者の大勢が判明している。中でも最難関大学である東大の科類別の合格者の様相はどうだろうか。今回のランキングでは、文系最高峰と呼ばれる文科Ⅰ類の高校別合格者ランキングを並べた。

【東大文Ⅰランキング】エリート官僚が輩出、文Ⅰには首都圏の難関校がズラリ

 文科Ⅰ類は、主に法学部に進学する学生を集めた科類で、言わずとしれた多くの総理大臣や官僚などのエリートが輩出している。

 全体のランキングは頻出だが、科類別に見ると、どういう傾向が浮かび上がるのか。なお、東大の推薦入試は科類ではなく学部別で合格者を出しているため、本ランキングは一般入試の合格者のみを対象とした。

東大文科Ⅰ類合格者高校ランキング 1位~7位

 1位は開成(東京)の19人、2位が筑波大附駒場(東京)の15人、3位が聖光学院(神奈川)の13人と続いた。4位は日比谷(東京)の11人。5位が早稲田(東京)、西大和学園(奈良)の10人。7位は桜蔭(東京)、駒場東邦(東京)と灘(兵庫)が9人で並んだ。

 上位9校を見ると、5位の西大和学園と7位の灘以外は東京・神奈川の高校が並んだ。10位は筑波大附(東京)、渋谷教育学園渋谷(東京)、豊島岡女子学園(東京)、ラ・サール(鹿児島)の8人で、ラ・サール以外はいずれも東京の高校だ。

 ここまで東京の難関校に偏っている点で考えられる要因が一つある。それは首都圏以外の地域では、地域の高所得者層は医療従事者が多いため、文系の難関大学に進学するキャリアモデルを見いだしにくい点だ。一方一都三県では、文系の職業でも高学歴高所得の大人が身近にいるため、文系の進路選択をしやすい影響も考えられる。

 近年では医学部志向の高まりがあるのと対照的に、文科Ⅰ類の人気が低下している。かつては自他共に文系の最難関として君臨しており、受験するだけでもセンター試験や共通一次テストで第1段階選抜を突破する必要があった。ところが近年ではない年があり、今年も8年ぶりに第1段階選抜が実施されなかった。

 文科Ⅰ類に入学しても、法学部に進学しない学生も増えてきている。背景には東大生の官僚離れが進んでいることや、弁護士などの法曹の人気が低下している点がある。そうなると文科Ⅰ類の存在意義も揺らぎかねない。東大の筆頭科類でありながら、正念場を迎えている科類とも言えるだろう。

(ライター・河嶌太郎)

次のページ
10位から16位はこちら