全国高校駅伝で一斉にスタートする都道府県代表校の女子選手たち(2023年12月24日)。体重を厳しく管理するチームも多い
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 若年層のスポーツの現場で、良い結果を求めるあまり、過度な減量を続ける選手たちがいる。心身に支障をきたすのはもちろん、女子の場合は無月経に陥るケースも。背景にある勝利至上主義を見直す動きが広がり始めている。AERA 2024年5月27日号より。

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“軽量化計画”に苦しんできたのは、慶應義塾大学SFC研究所の本田由佳上席所員も同じだ。インターハイにも出場した元新体操選手だが、現役時代は、過度の食事制限に明け暮れていたと話す。

「朝の起床時、帰宅時、それに何か食べたり飲んだりするたびに、1日に10回は体重計に乗っていました。部活動の練習以外で、少しでも増えていたら走りに出たりプールに行ったりという日々でした」

 スポーツ庁と文化庁が22年に定めた学校部活動に関するガイドラインでは、心身の健康管理の徹底と週当たり2日以上の休養日を設定するよう求めているが、本田さんの高校時代は年末年始を除いて練習は休みなし。週に30~40時間もの猛烈な練習で、体脂肪率はわずか10%程度だったという。

 月経周期の維持には、体脂肪率は22%以上が必要と言われている。本田さんは、高校に入学して2カ月ほどで月経は止まったが「生理が来なくて楽ちん」と考えていた。通常あるべき症状が体に表れない不安がなくはなかったが、毎週月曜日の体重測定が生活の中心となり、週の後半は減量のために1日1食、チョコレートひとかけらで済ませることも多々あったという。

「1週間で体重がジェットコースターのように増減する生活を続けていました。国体の選手候補に選ばれた時は指導者に『体重を落とさないと試合には出さない』と言われ、2週間で8キロの減量。夜は眠れず、集中力も落ちて、部活では動けない、勉強もできない。国体のメディカルチェックで重度の貧血と診断され、『このまま痩せ続けたら死んでしまうよ』と言われました。今思えば行き過ぎていたし、エネルギー消費と摂取、栄養のバランスが異常でした」(本田さん)

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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