益子直美さんが2015年から主催する「監督が怒ってはいけない大会」。勝敗より「楽しくのびのびとプレーすること」を重視している

 過度な減量の裏にある「勝利至上主義」。それは行き過ぎた指導につながり、健康被害以外にも様々な弊害を招く。今、成長期の子どもたちをめぐる勝利至上主義を見直そうという機運が各競技で高まっている。

 22年、柔道界では全日本柔道連盟が小学生の全国大会を廃止。子どもたちが無理な減量を強いられたり、怒声を浴びせられたりする指導を問題視した結果の決断だった。

 バレーボール界では、元日本代表選手の益子直美さんが15年から「監督が怒ってはいけない大会」を主催。試合の最中に怒った指導者を見つけると「×」印が書かれたマスクを着用させている。暴力や体罰など、スポーツの現場でのいびつな指導を是正したいという思いから始まっているという。

 年齢に応じた適切なエネルギー摂取と指導者の意識改革。その上で、

「スポーツ界における伝統的な価値観や慣習を見直していくべきです」(鈴木教授)

(編集部・秦正理)

AERA 2024年5月27日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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