野村監督を「しのぶ会」に参列した新庄監督

「天国で喜んでいると思います」

 新庄監督の指導ぶりについて、かつて野村氏から指導を受けたプロ野球OBは、「新庄監督が取り組んでいる日本ハムの野球が、野村野球に最も近いと感じます」と語る。

「野村さんは適材適所でコンバートを積極的に行っていました。その成功例がヤクルト監督時代の飯田哲也、土橋勝征です。2人はセンターラインで不可欠な選手として活躍しました。新庄監督も中日で捕手だった郡司裕也を三塁、アリエル・マルティネスを一塁で起用して重宝している。ソフトバンクでくすぶっていた田中正義を守護神で覚醒させ、鈴木健矢にアンダースローへのフォーム改造を助言して素質開花のきっかけを与えるなど、再生工場の手腕も垣間見えます。野村さんと新庄監督の共通点は、頭を使わない選手を嫌がること。走塁と守備を大事にする野球も重なります。野村さんは天国から日本ハムの野球を見て喜んでいると思いますよ」

 21年2月に野村氏をしのぶ会が神宮球場で開催された時、日本ハムの監督就任が決まった新庄監督は野村氏が愛用していた形見のジャケットを仕立て直して参列。「プロ野球のお父さん」と野村さんに敬意を表し、「ファンあってのプロ野球。そして、メディアを通して(チームを)コントロールするという考えは、なるほどなあ、と。僕も今、監督として選手とファンを意識しながら発信しています」と語っていた。

 新庄監督が就任した22年は主力選手が退団し、戦力を見ると他球団に大きく見劣りしていた。チーム再建を託され、就任1年目は借金22、2年目の昨年も借金22で2年連続最下位に沈んだ。だが、若手が試合を重ねて成長するその戦いぶりはファンの心をつかんでいた。万波は昨季25本塁打でブレークし、今季は水野、田宮裕涼が台頭。投手陣は北山亘基、金村尚真、河野竜生が次々に頭角を現している。

「チームの伸びしろを考えた時、12球団で一番可能性を感じるのが日本ハムです。新庄監督の長期政権で黄金時代を築く可能性を感じます。今後は他球団のマークが厳しくなる中で真価を問われる。どのような野球を見せてくれるか楽しみですね」(スポーツ紙デスク)

 日本ハムの野球は面白い。パリーグの台風の目にとどまらず、主役になれるか。その戦いぶりが注目される。

(今川秀悟)

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