謝罪の方針を説明する伊藤信太郎環境相(2024年5月)

A. 消防士型(消防士に限るわけではない。デスクワークをしている官僚も同じだ)

(1) 市民を守ることで社会に貢献したいから公務員になる。カネや権力や権威のためではない。

(2) 普通に生活できれば、それ以上特別な報酬はいらない。自分の仕事に対して「ありがとう」と感謝の気持ちを表してもらえることが一番の喜びであり誇りである。

(3) 市民の要望に対しては、何とか応えようとする。今の仕組みで対応できないから無理ですとは言わない。予算、法律、条例などを変えてでも実現しようと努力し、上司に対しても直言する。

(4) 待遇に対してあまり頓着せず、多くは望まない。

B. 中央エリート官僚型(財務省や経済産業省の官僚などに多い)

(1) 自分が一番であることを証明したいので、一番難しいと言われる官僚になる。財務官僚なら最高だ。小学校から高校まで成績優秀で東大法学部を目指し、その延長で、官僚になって次官を目指すという感覚だ。

(2) 自分が一番であること、他の人より優秀だという証しとして、もっとも手っ取り早いのが、ちやほやされることである。給料はそんなに高くなくても良い。東大の友達には外資系のコンサルティング会社に行く人もたくさんいて、彼らの方がずっと給料は高いが、そういうものを求めているわけではない。大きな権限を持ち、みんなから頭を下げられるような地位にいることの方がはるかに大事である。

(3) 市民からの要望があると、「くだらないことを要求してくるなあ」と迷惑がる。「日本で一番優秀な俺たち」がいろいろ考えて、良かれと思って「やってやってる(・・・・)のに」、バカな庶民にはそれがわからない。あいつらはバカだから、説明しても無駄だという感覚。市民の側が強く要求すると、「たかりだ」と逆切れする。

(4) 日本一優秀な自分たちが夜中まで働いているのに、待遇は全く見合っていないと考える。すぐに世間からバッシングを受けるし、できの悪い政治家の尻拭いをさせられるという被害者意識も強い。退職後においしい生活が待っているから何とか釣り合っている、だから天下りは何が何でも守るのが正義にかなう。天下り廃止なんて、バカな庶民と一部の左翼マスコミが考えるたわ言だ。天下りをなくせば、俺たちのような立派な人間が官僚にならなくなって、この国は滅亡するぞ!という論理になる。

C.  凡人型

(1) 生涯安定した生活を得るためには公務員が一番だと考えて官僚になる。犯罪でも犯さない限りクビにはならないし、毎年、着実に昇給し、少しずつ出世できる。退職後も70歳くらいまでは天下りと「わたり」で食いっぱぐれることはないという安心感を求めて官僚になる。

(2) そこそこの給料と退職後の安定した生活保障が最大の報酬である。

(3) 難しいことを言われると逃げる。失敗したら✖がつくので、とにかく余計なことにはかかわらない。担当課だと思って話を聞いてもらうと、一通り話したところで、「うちでは対応できないので、他の課を紹介します」と言われてたらい回しされるというのは、このタイプの官僚に当たった場合だ。もちろん、市民の要請に応えるために、規則を変えて対応しようなどという「危険な」ことは絶対に考えない。

(4) 現在の待遇については、できれば、もう少し給料を上げて欲しいと考えるが、それを声高に叫ぶことはない。ただし、天下りがなくなるなんて絶対に認められない、何のために官僚になったのかわからなくなるじゃないかと考える。

 この3分類を参考にしながら、今回の環境省の官僚の行動を見てみよう。

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ほぼ消滅した「消防士型」の官僚