鳥かごの外と内、どっちがいい?

 ものすごくお給料の良い一流企業にいながら子育て中の友人や、色々な仕事をやめてお金持ちと結婚をして主婦業に専念している友人は、私から見れば両方その道を極めていてうらやましいなぁという感じだったのですが、話をじっくり聞いていると、それらを持っていない私には想像していない悩みがあるもので。凡庸な言い方になっちゃうけど総じて言えるのは、選び取らなかったもう一つの幸福はキラキラして見えるということです。それがかなり思考停止で積み重ねた選択であれ、強い意志でつかみ取ったものであれ。

 というわけで、自分とはどこかで道が分かれた友人のインスタ投稿を見て、自分にはないキラキラをうらやましく思うのは当たり前です。そのキラキラは意識的であれ無意識的であれ、あなたが選び取らなかった方のキラキラで、どこか違う選択をしていれば自分の手元にあってもおかしくないものだからだと思います。

 私は血液が妬み嫉みでできているので、ほぼ全素敵女子のインスタを見るたびに、いいなウエスト細くて、いいなシンガポールに家あって、いいなバーキン持ってて、いいな有名な賞とかとれて、いいな旦那が金持ちで、いいな才能あって、いいな子ども三人もいて、と指をくわえてよだれを垂らしています。

 そこにはどこかに、私だってあの時の彼と別れなければとか、あの時会社辞めなければとか、あの時もっと一生懸命書いていればとか、あの時もっとダイエットしていれば、あのキラキラの中にいたかもしれないのに、という私のおこがましさがあるのでしょうが、実際、この世界はそういうたらればがいくらでも想像できるように作られているので仕方ありません。

 それはかつて、生き方を生まれた場所や家庭で強く限定され、親の意向が本人の意向よりずっと強力だった時代の女にはない、自由な私たちが向き合っていかなくてはならない複雑さだと思っています。先人たちの闘いのおかげで、女性の生きていた鳥かごにはいくつも力強い穴があけられましたが、穴の外側と穴の内側のどっちが自分にあっているか、どの穴に一番後悔がないかはその後を生きる私たちが考えることだからです。

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