気象庁によると、昨年の夏の平均気温は平年を1.76度上回り、1898年の統計開始以降で最高を更新。今年の夏も全国的に最高気温が35度以上の猛暑日が増える予想だ(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 近年、「観測史上初」が続発し、記録的な猛暑や、各地で豪雨による被害が出るなど、「異常気象」を肌で感じることが多くなってきた。今年の夏はどうなるのか。どんなことに気をつければいいのか。気象予報士の國本未華さんと晴山紋音さんの二人が語り合った。AERA 2024年5月13日号より。

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晴山紋音:お久しぶりです。以前、(二人が所属する気象情報会社「ウェザーマップ」の)研修でお会いしたときは、私はまだ学生で。

國本未華:同じ事務所でも、意外と会う機会はないですね。

晴山:こうやってあらためて向き合うと、すごく照れる(笑)。

國本:なかなかシュールですよね(笑)。

 ところで、「最近、天気が何かヘンだな」という声をよく聞きます。たとえば今年の春先の寒暖差。この時期の寒暖差は毎年のことではありますが、その振れ幅が大きかったのは確かです。

晴山:4月15日には札幌で観測史上最も早い夏日(25度以上)を記録したり、「観測史上最高」を毎年、何度も更新し続けている感もありますね。

國本:更新するスパンが短くなってきました。「暑くなる時期」も早くなって、最近はもう5月頃から30度を超えるところがあったり。

晴山:雨も4月最初の頃、菜種梅雨を通り越して「あれ? 梅雨のはしりかな」と感じてしまうことがありました。

國本:もうすでに降り方が梅雨っぽかったですよね。降り方の強度も、例年の同じ時期よりも一段階強かった。

夏の終わりから強烈な残暑の可能性も

晴山:日本近海の海面水温の高さも、要因としてあると思います。気象庁によると「昨年6月から今年2月にかけて3季連続で過去最高を更新した」と。水は温まりにくく冷めにくい性質があるので、いったん温まってしまうと空気も影響を受けて暖かくなりやすく、気温のベースが上がってしまう。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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