國本:今年は暖冬で、そして春も気温が高め。このまま夏を迎えて海が温かいまま低気圧や台風が来れば、空気中の水分量が多くなるので一回に降る雨の量が増える。そういうつながりが生まれます。さらにポイントになるのが、現在は「インド洋の海面水温が高い」こと。日本の南で高気圧を強めており、湿った暖かい空気が日本に流れ込みやすく、この春は雨量が多くなっている。このインド洋の状況が夏まで続くかどうか。そこも予報のカギになりそうです。状況次第では上空にあるチベット高気圧が強まります。いったん強まるとなかなか引いていかないので暑さが持続し、「夏の終わりから」強烈な残暑が来る可能性もあると見ています。
晴山:暑さや災害への備えも大切になってきますよね。川が増水しやすい出水期を前にハザードマップや防災グッズの確認をしたり、健康面でも本格的な暑さが来る前に、運動や入浴などで徐々に体を暑さに慣らしていく「暑熱順化」が大事だと思います。
正直、今年もどこかで40度を記録するだろうなと思っている自分がいて。35度以上の猛暑日って、昔から記録としては出ているんですよね。でも、その回数が近年は驚くほど多い。やはり地球温暖化は起きているんだなと、そういうところでも実感します。
國本:「地球温暖化がないと出ない記録」がいろいろと出ている。温暖化による底上げがあり、そこにさまざまな条件も重なって猛暑が起きています。
晴山:ただ、天気を伝える際には「その気象が地球温暖化の影響だと結論付けられる根拠」を示すのがとても難しい。「これは温暖化の影響じゃないか」という自分の感覚だけで伝えてはいけない、という思いもあります。
國本:「ニュースの視点」と、「日常の天気予報で視聴者に寄り添う視点」と、それぞれあるべきだと思うんです。
天気予報は、地球でこんなことが起きているというよりも、「こういう天気だからどう対策していきましょうか」を一緒に考える時間になるといいなと私は考えています。一方でニュースという「こういうメカニズムで温暖化が起きていて、いまはこのフェーズ」とデータに基づいた情報を伝える場もあればいいのかなと思いますね。