予報するだけじゃなくて、行動促す働きかけも大事
晴山:気候変動については「適応と緩和」が必要、とよく言われます。たとえば植林などで温室効果ガスの吸収量を増やすなどの活動を伝えるのが緩和だとしたら、私たちがいま天気予報などで「こういう天気だからこう対策しましょう」などと話しているのは適応の方に入ると思うんです。
皆が意識を高く持つしかないし、私たちはその意識が高まるように、小さなところで少しずつ影響を与える役割をしなきゃいけないと思ったり。
國本:そうですね。たとえば、「何月並みの暑さです」という言葉、実は聞き流してほしくないんです。いまより2カ月も先の気温で、それくらい季節が進んでいるんですよということを伝えたいがゆえにそう表現している。そんなところもきちんと視聴者の方と共有できたらいいなと思いますね。
晴山:突然ですけど、國本さん、自分の予報にいま自信が持てますか?
國本:うーん、自信があったとしても、その想像を超える自然の脅威は常に、必ずあるということ。絶対にそこは肝に銘じて、侮るなかれ、と。
晴山:いまは予報の精度も上がって、予報は「当たるのが当たり前」と思われているところもありますよね。
國本:当たっても褒められない(笑)。
晴山:とはいえ「もう、そのときになってみないとわからない」という天気も年に何回かは必ずある。そんな日は「明日まで待ってもらえませんか」と言いたくなりますけど(笑)。
でも気象予報士の仕事って、予報するだけじゃないんですよね。予想して、当たった/外れたが大事なのではなく、「予想したことによってどう行動してもらえるか」が大事。天気を「翻訳」して、行動してもらえる働きかけにつながる言葉を選ぶ。そういう伝え手であるべきだと考えています。