時間も気力もないのに、本当にやることが多い! これぞ中年!(イラスト:サヲリブラウン)
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 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 鏡に映った自分の顔がよく見えなかったので、もしかして気づかぬうちに緑内障を患い、かなり進行してしまったのでは……と不安になりましたが、鏡と眼鏡のレンズを拭いたら、シミやタルミまでハッキリ見えるようになりました。ズボラはよくないですね。見なくていいものまで見えてしまったけれど、一安心。

 いや、安心している場合ではありません。「眼科検診に行く」は、去年からずっと私のTO-DOリストに入っています。緑内障の検査が必要な年齢ですもの。

 そうは言っても、なかなか。夜遅くまで開いている眼科があればよいのにと思ったけれど、そうすると医療従事者の労働環境が悪化するので、やはり平日の日中に時間を作るしかなさそうです。

 本連載で手を替え品を替え幾度も記してきましたが、中年は本当にやることが多い。仕事、子育て介護などなど。と同時に、それまでとは異なるレベルでのセルフメンテナンスが必要なお年頃だから。今日の疲れを明日に残さない基本的なケアから、人間ドックなどのチェックアップ、加えて加齢による身体的ほころびのケア。すべてに手が回るわけがありません。時間もないし、気力もない。親はあれど子はいない私がこれですから、人生タスク全部乗せの人には無理すぎる。以前も同じことを書いたと思いながらもキーボードを打つ手が止まらないのは、なにも解決していないから。優先順位を入れ替えようとランキング上位のあれこれを意識的に削減しても、新たな赤丸急上昇案件がランクインしてくるんですから。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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