
シニア世代のインタビューでは、体が動くうちにやりたいことをやっておくべきと語られていることがあります。それ、物理的に無理ではなかろうか。体が動くうちは他者のためにやることが目白押しで、「私のための私のこと」に時間を割けないのだから。それが叶う時間が持てるようになると、今度は体が言うことを聞かなくなるのでしょう。
年老いた父親から人生のやり残しを悔いる話を聞いたことがないのはせめてもの救いですが、この人は自分の欲望のために周囲に散々無理を強いてきた人だからなあ、と呆れた気持ちにもなります。
老いた父を見て己の老後を憂い、それまでどう過ごすかを考えつつ、しかし目の前のタスクに時間が食われていく現在の自分を憂い、これぞ中年という毎日です。
※AERA 2024年5月13日号