AERA 2024年4月22日号より

 介護保険は制度設計上、様々な問題や欠陥を抱えていますが、日本が誇るべき財産です。それまで老人介護は「嫁」による「無償の介護」でした。それが、介護保険がスタートしたことで、介護を社会全体で支える「介護の社会化」の第一歩となりました。到底不可能だった「在宅ひとり死」もできるようになりました。24年間の介護保険の経験の蓄積と現場の進化は、世界に誇ってよいと思います。

 若い人に伝えたいのは、「今の社会保障は高齢者に手厚い」という世代間対立を煽る言説に乗っからないでください、ということ。親をひとりで安心して置いておけるのも、あなたが親と離れて安心して生活できるのも、介護保険があるおかげです。

 権利と制度は歩いて向こうからやってきません。手に入れたと思ったものも、知らないうちに奪われます。監視し、参加し、行動して、大切な介護保険制度を守ってください。

(編集部・野村昌二)

AERA 2024年4月22日号

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
50%オフは当たり前!?中には70%オフのアイテムも!Amazonの在庫処分セールで掘り出し物みっけ♪