本場フランスよりも「すごい」
家庭などで不用となった品物と一緒に、古美術品が並んでいる店があった。
それを目当てにやってきたのは、おしゃれな白いジャケットを身につけたフランス人のニュイさん。2週間前に来日し、慶応義塾大学で美術史を学んでいるという。
手さげ袋には、巻物のようなものが数本入っていた。
「お見せしましょう」と自慢げに広げてくれたのは、大きな太陽を背景に舞うツルが描かれた掛け軸。安いものだと千円ほどで買えるという。
フリマ、いわゆる「蚤(のみ)の市」はフランスが本場だが、これほどの規模のものはほとんどないらしい。
「フランスのフリマは、数は多いのですが、どこも値段が高すぎます。ここは品数が豊富なうえ、すべてがとても安い。だから、これも欲しい、あれも欲しいって感じで」
と、ニュイさんは興奮気味に語った。
観光客ではなく、日本で暮らす外国人も訪れる。来日して10年になるインド人のピヨシさんは、古銭のコレクションが趣味だという。
日本に来て間もないころ、職場の同僚からこのフリマを教えられて通うようになった。
「古銭だけでなく、仏像のような本格的な古美術品を購入することもあります」
ところがこの日、ピヨシさんの手に握られていたのは「スチールペイント」と書かれたチューブの箱だった。
「ははは、車の傷を修理するのに便利だと思って、たまたま目にして買ったんです。電気のコード類も非常に安く買えますよ」