日本人と「絆」ができる場所
男性化粧品を売っていた店で、盛んに値切り交渉をしているインド人の若者グループにも出会った。彼らも日本で働いているという。
店主は「無理だよ、絶対無理。この値段で300円しか儲けが出ないんだから」と声のトーンを上げるが、彼らはまったく引かない。ただ、お互いの表情には、やさしさが感じられる。
最後に「じゃあ、またね」と店主は声をかけた。彼らの一人は常連客だという。
「今日は友だちを連れてきたんです。ぼくらにとってここはお手ごろ価格だし、品物も豊富です。それに日本人と『絆』ができる」
「えっ、絆ですか?」と記者が聞き返すと、「ええ、そうです。ここで買い物をすると、ほかの場所では体験できない多くの絆が日本人とできます」。
今日はどんな買い物をしたのか。手にしていたビニール袋を見せてもらうと、人気漫画「SPY×FAMILY」の主人公の一人、アーニャのぬいぐるみなどが出てきた。
古美術品とともにアニメグッズも外国人に人気で、店先を眺めながら「カワイイ」を連発するカナダ人女性や、小さなキャラクターグッズをたくさん手に入れたイギリス人の少年にも出会った。
並べられた古いフィルムカメラを興味深そうに眺めていたテオさんは、世界最高峰のモーターレース「F1」の日本グランプリを撮影するために、米サンフランシスコからやってきたという。
「以前、日本を訪れた友人がこのフリマのことを話してくれて、カメラ機材を見つけるのによい場所だと言っていました。実際に来てみると、クールな品物がずらりと並んでいて、想像していたよりもはるかにすばらしい。実に楽しいです」
と、ご満悦だ。