ドラフト候補として期待される知徳・小船翼

 3月18日に開幕した第96回センバツ高校野球。25日の第1試合、常総学院と日本航空石川の試合で1回戦が終わったが、2日間の雨天順延を挟み、各地で春季大会がスタートしていることもあって、この日まで甲子園に残っているスカウトは非常に少なかった。

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 今大会に出場した選手は投手では今朝丸裕喜(報徳学園)、平嶋桂知(大阪桐蔭)、洗平比呂(八戸学院光星)、高尾響(広陵)、小川哲平(作新学院)、関浩一郎(青森山田)、吉岡暖(阿南光)、平悠真(高知)、野手では箱山遥人(健大高崎・捕手)、只石貫太(広陵・捕手)、武田勇哉(常総学院・一塁手)、ラマル・ギービン・ラタナヤケ(大阪桐蔭・一塁手兼三塁手)、田中陽翔(健大高崎・遊撃手)、モイセエフ・ニキータ(豊川・外野手)、正林輝大(神村学園・外野手)、福田修盛(阿南光・外野手)などがドラフト候補として注目を集めていたが、出場を逃した選手にも今後楽しみな選手は非常に多い。

 投手でまず評判となっているのが小船翼(知徳)、村上泰斗(神戸弘陵)、川勝空人(生光学園)の3人だ。小船は197cm、108kgという日本人離れした体格の超大型右腕。昨年秋は県大会で早々に敗れたものの、地区予選では150キロもマークしている。センバツに出場する学法石川、京都外大西、大阪桐蔭が大会前に練習試合を組んでいることからも関係者の間で注目度の高さがよく分かるだろう。フォームはテイクバックで右肩が大きく下がり、無駄な動きも多いように見えるが、意外に指先は起用で変化球のコントロールも悪くない。スケールを残したまま上手く角がとれてくれば、さらに評価を上げることになりそうだ。

 村上もレベルの高い関西で評判になっている本格派右腕。3月2日の練習試合では報徳学園の今朝丸と投げ合い、3回4失点で負け投手となったものの、ストレートはこの時期にしては十分な速さとなる最速149キロをマークしている。変化球の制球やスタミナ面には課題が残るが、フォームに目立った欠点がないのは大きな魅力だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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左投手で騒がれる存在になりそうなのは?