デビュー戦の大炎上シーンで“ブロードウェイ・ミュージカル”としてファンに記憶されているのが、2016年7月にDeNAに入団したマイク・ブロードウェイだ。
196センチの長身から繰り出す自称最速161キロの速球を武器にメジャー通算25試合に登板した右腕は、CS初進出を目指すチームの貴重な中継ぎとして期待された。
アレックス・ラミレス監督は「最初は負けている状況で投げてもらう。日本の野球に適応したら、勝ちパターンの7回に投げてもらいたいね」という起用プランを描いたが、思いどおりにいかなかった。
8月17日のヤクルト戦、3点ビハインドの7回からリリーフで来日初登板をはたしたブロードウェイは、先頭のウラディミール・バレンティンに初球をいきなり左翼ポール際に本塁打され、自らの悪送球も含めて2被弾5失点の炎上デビュー。ネット上で「全ベイが泣いた」と揶揄された。
さらに7回途中からリリーフした同30日の広島戦でも、暴投を演じた直後、安部友裕に右越え2ランを浴び、翌日登録抹消。これが最後の“上演”となり、登板5試合で防御率4.50と結果を出せないまま、CSの前に寂しく退団帰国した。(文・久保田龍雄)
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。