――ある意味「妻」の肖像でなければできなかったのかもしれませんね。さて《ブルー・ヌードIV》も来日しますが、ブルーについて何か想像されますか。 

【来日作品】アンリ・マティス《ブルー・ヌードIV》/1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託)/パリ、フランス
【来日作品】アンリ・マティス《ブルー・ヌードIV》/1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託)/パリ、フランス/(c)Succession H. Matisse

竹中:海や水の中というか、女性を感じます。マティスは、女性から受ける影響が大きかったように思います。「いや、そんな事はないな」とマティスは言うかも知れませんが(笑)。でもどんな芸術家もみんなそうですよね……。女性のほうからの愛情もすごく深かったんだろうな……。マティスの才能を信じるこころ。愛ですね……。そして性的なエネルギーも常に深かったんじゃないのかな……。それが描くちからになっている。こういう線で女性の体を描くのはそういうことなのかな……。藤田嗣治(ふじたつぐはる)なんて5人の女性と結婚していますものね。画家はモテるんですね……。

竹中直人さん
竹中直人さん

――最後に読者へメッセージをお願いします。

竹中:マティスは、とてもチャーミングです。色彩がとても豊かで、でもシンプルで……。身近に感じることができる作品が多いと思います。マティスの作品を見つめていると「自分でも描いてみよう」という気持ちになるんじゃないかな……。「私なんか」などと思わず、私でも基礎がなくても自由に描けるんだという思いにかられると思います。いくつになっても想像する楽しさを与えてくれる展覧会ではないでしょうか。これを機会にぜひマティスの絵を見つめて想像を膨らませて……。マティスの深い祈りを想い、ロマンチックな気分になってください。

――ありがとうございました。