大学が学徒動員に走った歴史
この処分の背景について、広報課は「表現活動の自由化を求める意見に対して注意をしたわけではない」としつつも、「政治セクトやカルト宗教の勧誘などから学生の安全を確保するためにも、掲示板を利用する上での最低限のルールは必要と考えています」と説明している。
処分を受け入れた二人は、今年1月26日、大学事務室に対し、「掲示物及び立て看板の規則に関する要望書」を提出した。要望書では、「掲示板に張り紙をする際に許可申請が必要なのは“検閲”にあたり、民主的な大学運営に不適当」「立て看板の設置を認めないことは学生の自由を認めないことであり、設置や設置規則について学生との協議の場を設けるべき」などと訴えたが、3月11日時点で、まだ大学側から見解は出ていないという。
なぜ二人は、少なくない代償を払ってまで、同好会活動に心血を注ぐのか。
「大学は戦争に対して言論で“待った”をかける機関なのに、あろうことか、そう主張する学生を排除しようとしている。戦前の大学が軍事研究に走って学徒動員した歴史に重なって見えて、これは大学内だけでなく社会の根本に関わる問題ではないかと、大きな危機感を持っています。キャンパスは、学生の問題意識を発信し、授業で学んだことを即座に実践するための場であってほしいと願っています」(B美さん)
「戦争反対だけではなく、たとえば学費値上げへの抗議など、学生それぞれが言いたいことを言える環境が理想です。大学に訴える場がない現状は不健全だと思います」(A輔さん)