大学職員がビラをはがす姿
あえてさまざまなテーマのビラを用意したのは、「自分たちだけでなく、他の学生も自由に張り紙をしてほしい」という思いからだ。早速面白がってくれた一部の学生が、その日のうちに数枚のビラを貼りに来てくれたという。
しかし翌24日、掲示板の様子を見に行ったA輔さんとB美さんの目に飛び込んできたのは、大学職員が次々にビラをはがす姿だった。元から貼られていた、同大中野キャンパスで開催される「ダイバーシティフェスタ」の案内さえも、B美さんが貼ったレインボーフラッグのビラとデザインが似ていたからか、姿を消していた。
そこで大学事務室にビラ撤去の理由を問い合わせると、「掲示前に申請が要らないと言ったのはこちらの手違いで、本当は事務室による確認・許可を経たものしか掲示できない」「政治的なビラは、セクトなど学外の団体を呼び寄せる原因になりかねないので認められない」といった回答があったという。
A輔さんは当時の状況をこう振り返る。
「もちろん反論はしましたよ。戦争反対は政治的ではなくて普遍的な主張だし、掲示板は学生のために置かれているのだから自由に使う権利はあるはずだと。でも職員の人は、『掲示板はあくまで大学の所有物。人の家に張り紙をしてはいけないように、勝手な行動は認められない』という一点張りでした」
明大はなぜ、A輔さんたちの張り紙を「政治的」とみなしたのか。編集部が広報課に問い合わせると、「政治活動家の写真や特定内容のビラの掲示が見受けられ、学生からも問い合わせがあるほどでした。無許可での掲示だったこともありこれらを総合的に判断しました」と文書での回答があった。