かつて「一億総中流社会」と言われた日本は、すでに「下流」である可能性があると、社会学者で家族社会学を専門にしている山田昌弘氏は指摘する。現代の日本には相対的に貧困な人が約6~5人に1人いるという。同氏の新著『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、日本の結婚生活が「不幸の共同体」になりかけている状況を紹介する。
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日本の結婚生活は、「不幸の共同体」に陥りかけているのではないでしょうか。高度経済成長期には、「今は不幸でも、これから幸せになれる」と多くの人が夢を見られたのに対し、今の日本は、「現在、不幸」なら「今後もずっと不幸」と思うしかない社会状況であるように見えます。
人生のステップアップを望めない非正規雇用者がこれだけ多い日本で、しかし現在いちおうの安定を享受している中流層も、不安から逃れることはできません。わずかに気を抜けばすぐさま現状のステイタスから下流に滑り落ちてしまう恐怖に、特に現役子育て世代はからめとられています。
「自分だけなら、どうにか無事に人生を送れそうだが、我が子は自分と同じランクの人生を歩めるだろうか?」
その不安が、昨今の塾歴社会に表れています。幼少期から学習塾に通い、小学校高学年ともなれば、弁当持参で夜学を日常とする姿を年配者は理解できません。
「子どもは子どもらしく、外遊びをしていればいいのに……」