近年の高校野球で最も盛り上がった年といえば2018年ではないだろうか。大阪桐蔭が史上初となる2度目の春夏連覇を達成。夏の甲子園では金足農が劇的な勝利を重ねて準優勝に輝き、その躍進は“カナノウフィーバー”と呼ばれた。そしてこの年のドラフト会議では根尾昂(大阪桐蔭→中日1位)、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ1位)、小園海斗(報徳学園→広島1位)、吉田輝星(金足農→日本ハム1位)、太田椋(天理→オリックス1位)と5人の高校生が1位でプロ入りしている。あれから今年で6シーズン目となるが、果たして彼らの出世レースは現状どうなっているのだろうか。
まず投手で世代トップといえば戸郷翔征(巨人)になるだろう。1年目にプロ初勝利をマークし、2年目には早くもローテーションに定着。その後の勝利数は9勝、9勝、12勝、12勝と高い水準で推移しており、昨年はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場しながら防御率(2.38)、勝率(.706)でキャリアハイとなる数字をマークしている。4年連続で被本塁打が10本以上というのは課題だが、それ以外の点では毎年レベルアップしていることを感じさせ、完全にチームのエースとなった印象だ。このまま順調にキャリアを重ねていけば、世代で最初のメジャー移籍も見えてくるだろう。
戸郷以外で高校からプロ入りした投手は苦戦が目立っているが、一方で今年一気に成績を上げそうな大学卒2年目の投手は非常に多い印象を受ける。先発でまず同期入団の投手の中で一歩リードしているのが荘司康誠(楽天)だ。高校時代は全く無名で、大学でもリーグ戦初勝利は4年春と遅咲きだったものの、ポテンシャルの高さが評価されて2球団競合の末に楽天に入団。1年目から先発に定着すると、100イニングをクリアして5勝をマークする活躍を見せた。四死球の多さは課題も、防御率3.36というのも見事な数字である。今年は二桁勝利も十分に期待できるだろう。