「でも、結果を出してくれればいいんですよね。仕事量に勝手な配慮はせず、事前に相談するようにして、さらに働き方に口出ししなくなったら、うまく回り始めました。子育て中の女性たちは時間をやりくりしながら、良いパフォーマンスを発揮しています」

 と話す。女性自身もかつては、男性上司のように長時間猛烈に働くことがキャリアのためには必要だと思っていたが、今は自らも週末は生け花のレッスンに通うなどして、自分を整える時間を大切にできるようになったという。

『「日本」ってどんな国?』などの著書がある東大大学院の本田由紀教授(教育社会学)は、そんな変化を「当然のこと」として、こう解説する。

「男性化することは正解ではないということを、賢い女性たちは肌感覚でわかりはじめているということでしょう。日本では長らく、女性は家庭に、男性は仕事に閉じ込められてきました。つまり、女性の役割も男性の役割もどちらも極端でゆがんでいるのです。だから、女性が男性のように働いても不幸でしかない。これまでの女性でも男性でもない、もっと人間らしい生き方を考えるべき時がきていると思います」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2024年3月11日号より抜粋

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