「今年の巨人は強いよ」
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スタンド裏で視察する他球団の関係者たちがささやく。
セ・リーグ球団のスコアラーは「阿部慎之助監督が就任して巨人の野球が変わる」と警戒を強める。
「実戦を見ると手堅い野球をする。岡田彰布監督と重なる部分がありますね。昨年ヘッドコーチとして戦って参考になる部分が多かったのでしょう。内外野のカバーリング、状況判断に応じた打撃などを重視する。スキのない野球を目指す強い意思が感じられます。原辰徳前監督は積極的に駒を動かし、時には奇抜な作戦や起用法を見せることがありましたが、阿部監督が采配を振るった実戦を見ると野球が全く違う。ガラッと変わった印象がありますね」
目指す野球が見えてきた
昨年はチーム打率.252、164本塁打といずれもリーグトップだったが、523得点はリーグ3位。大量得点を取る爆発力があったが、接戦で1点を取る緻密さに欠けていた。首位を独走してリーグ制覇、日本一を飾った阪神は84本塁打と巨人の半分だったが、出塁率と機動力を重視した野球でリーグトップの555得点をマーク。四球の数を見ると阪神が494に対して巨人が355、犠飛は阪神が47で巨人が31という数字が表すように、安打が出なくても得点を取れるのが阪神の強みだった。
巨人は2年連続Bクラスに低迷した反省を生かし、野球を転換する必要に迫られていた。小技、機動力を使って相手を揺さぶる。同じアウトでも進塁打など自己犠牲できるかが問われる。シーズン前の実戦で、阿部監督の目指す野球が見えてきた。初の対外試合となった2月18日の練習試合・韓国サムスン戦(那覇)では5回無死一塁で、ドラフト3位の佐々木俊輔に犠打のサイン。きっちり決めて逆転に成功すると、4点リードの8回無死一、二塁ではドラフト4位の泉口友汰が犠打で好機を拡大し、佐々木の2点適時打で突き放した。