『マシンガン継投』とも揶揄された原前監督

「長いシーズンを考えると、先発投手が不安定でもある程度のイニングを投げてもらわなければ、救援陣に負担がかかる。原前監督はこの点でなかなか我慢できなかった。先発が序盤に点を取られると、すぐに継投策に入る。『マシンガン継投』とも揶揄されましたが、この投手交代だと救援陣がつぶれてしまうし、先発投手も長いイニングを投げないので成長しない。阿部監督は先発陣が悪い状態の時もある程度我慢できるか。これは大きなカギを握ると思います」

対抗馬の最有力

 かつて、リリーバーで活躍した球団OBも同調する。

「先発が完投する時代ではなくなり、救援陣をいかにうまく稼働できるかがポイントになる。この能力に長けた指揮官がオリックス・中島聡監督、ヤクルト・高津臣吾監督、ロッテ・吉井理人監督です。阿部監督は名捕手として投手をリードしてきただけに、救援陣の登板過多に敏感だと思いますし、投手交代に神経を使うでしょう。救援陣が安定すれば、先発はそろっているので白星を上積みできる。もちろん、リーグ連覇を目指す阪神の圧倒的優位は変わりませんが、対抗馬の最有力になるのでは」

 阿部監督は指導指針をまとめた小冊子を首脳陣、選手、関係者に配布。監督方針として、「勝利のために自己犠牲ができる選手を起用する」「結果が大事だがプロセスを重要視する」「トライアル&エラー 失敗から学ぶ」など6項目を掲げている。4年ぶりのV奪回に向け、まだまだ手の内を隠している部分があるだろう。どのような野球を見せるか楽しみだ。

(今川秀悟)