V逸の要因として挙げられるのが、不安定な救援陣だった。昨年の救援防御率3.81はリーグワースト。守護神・大勢が6月下旬に右上肢のコンディション不良で2カ月半も戦線離脱。復帰後も失点を許す登板が続き、3勝0敗14セーブ1ホールド、防御率4.50と不安定だった。大勢につなぐ「勝利の方程式」もなかなか定まらない。30試合の逆転負けはヤクルトに次ぐ多さだった。
一気に厚みが増す
この反省を生かし、昨オフはリリーバーの積極的な補強敢行。長距離砲のアダム・ウォーカーとの交換トレードでソフトバンクからサブマリンの高橋礼、角度のある直球が武器の泉圭輔を獲得し、オリックスから金銭トレードで快速球右腕・近藤大亮、阪神からカイル・ケラー、現役ドラフトで馬場皐輔と即戦力の投手たちを次々に獲得した。ドラフト5位左腕の又木鉄平も実戦で好投を続けており、開幕1軍のメンバーに入ってくる可能性が十分にある。ドラフト1位右腕・西舘勇陽も先発要員として調整しているが、救援に適性があることから配置転換が考えられる。もちろん、既存の選手たちも新加入組に負けられない。堀田賢慎、菊地大稀、船迫大雅、直江大輔ら期待の若手たちが一本立ちすれば、一気に厚みが増す。
現代野球は救援陣の活躍がチームの命運を握る。リーグ連覇を飾ったオリックス、昨季の阪神も充実した救援陣が強さの源だった。在阪スポーツ紙記者は「救援陣の能力だけでなく、監督の投手交代のタイミングが重要です」と強調する。