移籍後初の「どすこいポーズ」披露となった2月24日の試合では、同僚の柳田悠岐が「どすこい見たい」と叫んだのもきっかけだったという。またファンが求めていることは山川自身も分かっており、「(どすこいポーズを後押しした柳田に)本当にありがたいっす」と試合後には感謝の言葉も口にした。

 入団までの経緯やその後の人的補償での一連の騒動はあったものの、3年連続リーグ優勝を逃しているソフトバンクにとっては覇権奪回へ向けて山川の補強は何よりも大きい。メンタルの面も心配されたが、本人はいたって順調なキャンプを過ごしている。

「キャンプ序盤からチームに溶け込んでいた。同じ長距離打者リチャードと休日練習をするなど、若手にも気軽に声をかけていた。右打者の柱として牽引してくれそう」(ソフトバンク関係者)

 柳田や昨年FA加入した近藤健介、ベテラン中村晃など左の強打者は多いが、右打者不足に悩んでいたソフトバンクの救世主になれそうだ。

「約1年のブランクが気になったが、プレー、精神面ともに心配ない。元々マイペースを貫けて結果が出なくても気分転換はうまい。今季は序盤からハイペースの活躍をしそう」(在京球団編成担当者)

 西武時代の出囃子には同じ沖縄出身のアーティストBEGINが歌う「オジー自慢のオリオンビール」という明るい雰囲気が漂う曲を使用していたが、結果を気にすることなく試合後も笑顔の時が多かった。紆余曲折の移籍となったが、常にポジティブな性格が今は良い方向に動いているようだ。

「ある意味、空気を気にしないタイプ。以前、山川の移籍に関する音声がNPB公式動画に出たが全く慌てなかった。例の事件や移籍に関しても、あまり気にかけていないのではないか」(元西武担当記者)

 2022年7月26日、オールスター第1戦の前に行われた打撃練習中の、「アグー(山川)、ソフトバンク行くらしいよ」と他選手が談笑するシーンが話題となった。以後はファン、関係者の間ではソフトバンク移籍は決定事項のように捉えられ批判が上がったのも事実だ。

「(西武に在籍していた)昨秋のフェニックスリーグでも『どすこいポーズ』をやった。本人的に早い段階で移籍するのは決めており、気持ちが切り替わっていたのだろう。今はソフトバンクのために結果を出すことしか考えていないはず」(ソフトバンク担当記者)

次のページ
活躍することで批判を封じ込められるか