一方のロッテも益田直也が年々危ない投球が増えているのが気になるところだ。昨年も36セーブをマークしたのは立派の一言だが、被本塁打は自己ワーストの9本と手痛い一発を浴びるシーンも目立った。通算250セーブまであと32に迫っているが、リリーフ失敗が続くようであれば、配置転換という可能性も出てくるだろう。

 実績のある投手も少なく、不安が大きいのが日本ハム楽天の2球団だ。日本ハムは昨年ソフトバンクから移籍した田中正義が25セーブをマークしたものの防御率は3.50と絶対的な安定感はなかった。田中は過去にも故障歴があり、またそれに代わる選手もまず名前が挙がるのは新外国人選手ということで未知数な部分が多い。場合によっては日替わりクローザーとなることも十分に考えられるだろう。

 そして昨年から最も大きくチーム事情が変わるのが楽天だ。長年抑えを務め、2年連続で最多セーブのタイトルを獲得した松井裕樹(パドレス)がメジャーに移籍し、則本昂大が先発から配置転換されることになったのだ。則本は先発投手としての実績は十分だが、これまでリリーフでは通算5試合しか登板がなく、セーブもホールドも記録していない。以前に比べて奪三振率が低下しているのも気がかりなだけに、次の手も考えておく必要がありそうだ。

 こう見ると万全と言える球団は決して多くなく、ベテランの名前も多いことがよく分かる。それだけに、一昨年、昨年の阪神の岩崎のように、開幕当初のクローザーが躓いた時にいかにカバーできる存在がいるかということが重要と言えるだろう。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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