DeNA・山崎康晃
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 プロ野球のオープン戦も始まり、主力選手が実戦に登場する機会も増える時期となってきた。先発投手、クリーンアップなど中軸の仕上がり具合が気になるところだが、その中でも重要な役割の一つが抑え投手である。1年を通じて50試合以上に登板することも多く、過酷な役割のため長年にわたって活躍することは難しいポジションであり、シーズン途中に入れ替わることも珍しくない。そんな各球団のクローザー事情を探ってみたいと思う。

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 まずセ・リーグで抑えが安定している球団と言えば中日阪神になるだろう。中日はマルティネスが一昨年から昨年にかけて44試合連続自責点0を記録し、昨シーズンの防御率は0.39と抜群の安定感を誇る。一昨年に比べて被打率はわずかに悪化したがそれでも1割台をキープしており、奪三振率は向上し、さらに与四死球の数が大きく改善していることもプラス要因だ。昨シーズン終盤に腰を痛めたものの、2月12日には来日し、順調な調整を続けている。怪我などがなければ、最多セーブのタイトル争いに加わる可能性は極めて高いだろう。

 一方の阪神は湯浅京己が2月23日の巨人とのオープン戦で1回を被安打4、2失点と打ち込まれて二軍調整になったのは気がかりだが、一昨年、昨年と2年続けてシーズン途中から抑えに回って結果を残した岩崎優の存在は心強い限りだ。また仮に湯浅、岩崎ともに不調に陥ったとしてもリリーフで力のある投手を多く抱えており、新外国人のゲラもキャンプでの評判は上々で、層の厚さは他球団を大きく上回っている。強力リリーフ陣は今年も大きな強みとなりそうだ。

 力のある抑え候補はいるものの、状態が気になるのがヤクルトと巨人だ。ヤクルトは昨年田口麗斗がリーグ2位の33セーブをマークし、防御率も1点台をマークしたが、今年のキャンプでは足の故障で出遅れている。また巨人も一昨年37セーブをマークした大勢がいるものの、こちらも昨年は成績を落とし、今年も右ふくらはぎを痛めて故障班での調整が続いている。巨人は阪神を自由契約になったケラーや、オリックスで実績のある近藤大亮などオフにリリーフ投手を補強しており、仮に大勢が出遅れたとしてもある程度カバーできるだけの戦力が揃っているが、ヤクルトは実績のある石山泰稚も今年で36歳と完全にベテランとなり、投手陣の層を考えても田口の離脱が長引くことはチームとして致命傷になりかねない。それだけにここから開幕までに状態を上げられるかが極めて重要になりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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