そこで、この3点に関する3党の改革案について、順に見ていこう。

 第1に、企業・団体献金について。

 岸田文雄首相は国会でどんなに追及されても、企業にも政治活動の自由があるなどと意味不明なこと(岸田首相は最高裁判決などを付け焼き刃的に持ち出しているが、これは、本質を全く理解しないまま誤った判例解釈をしているに過ぎない)を言いつつ、何があっても企業・団体献金の禁止には反対という立場だ。自民は、企業・団体から金と票をもらって権力と利権を維持し、その見返りにそれらを提供した企業・団体に補助金、公共事業、減税、彼らのための規制環境を与える。このいわば壮大な贈収賄構造が自民政治の本質だから、この姿勢はある意味当たり前かもしれない。

 逆に言えば、ここを突破されると彼らはほとんど生きていけないことになる。

 一方、立憲、維新はともに企業・団体献金禁止を掲げている。これは両党とも以前からの立場だ。しかし、維新については、パーティー券収入が献金とはされないことを利用して、パーティー券を企業に大量に売りつけているのではという批判がある。

 実は、維新は、元々大阪の自民党から分派した勢力だ。支持層には地元の企業が多く、自民と同じ政治資金の構造を引き継いでいる。

 第2の政治資金パーティーについては、自民は、派閥によるものは禁止するが党や個人によるものは禁止しないとしている。

 一方、立憲は全面的に禁止すると踏み込んだ。これは大変な意味を持つ。「全面的に」ということの意味は、個人だけを対象とするパーティーも禁止ということだ。

 これに対して、維新は、政治資金パーティーの禁止は盛り込まず、企業・団体がパーティー券を購入することだけを禁止するとしている。

 個人がパーティー券を買っても大きな金額ではないから、両者の違いはそれほど大きくないと言う人もいるが、これは間違いだ。なぜなら、個人に売ったとして表向きは個人向けの領収書を出しても、その領収書を使って企業が交際費などの経費として落とすことが(これが税法上正しいやり方ではないとされて否認されるリスクはあるが)実際には広く行われていると議員たちは証言している。

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維新の対応は中途半端だ