パーティー券はイベントの参加料なので、普通の飲食費ではないという扱いで1人あたり5千円(2024年度から1万円に引き上げられる)という上限がない。出席しないと寄付とみなされるが、出席すれば良いので、社員を参加させて写真を撮っておき、経費として落とすという手法も使われている。

 要するに個人向けと言っても大きな抜け穴があるのだ。

 第3に、政策活動費について。

 そもそも政策活動費の定義が明確でないが、最近問題になっているのは、政党などから党幹部に「渡し切り」で「巨額の資金」が移転され、その後「領収書なし」で政治活動に使われたとされる資金である。

 自民党の二階俊博元幹事長が5年間で約50億円も党から政策活動費をもらっていたことや、甘利明前幹事長が在任35日間で3億8千万円もの政策活動費を受け取っていたことで、選挙の買収に使われたのではないかなどと疑惑の目が向けられているが、岸田首相は「適正に処理されている」とまともに答弁しない。もちろん、政策活動費そのものの廃止には絶対に反対である。

 これに対して、立憲は、「使途不明な」「政策活動費」など政党「幹部への多額の渡し切り」を禁止とした。つまり、各党が慣習的に行っている党幹部に対する巨額の渡し切りの資金供与をやめるというのだ。

 一方、維新の対応は中途半端だ。「領収書に紐づかない」「政策活動費」の廃止と「透明化」と書いてある。22年分の政治資金収支報告書によれば、藤田文武幹事長に毎月81万〜1234万円の政策活動費を支出していたことや、19年分以降は毎年、馬場伸幸代表ら幹部数人に計4497万〜5966万円を配っていた(22年分は馬場氏への支出はなかった)という後ろめたい事実があるからだろう。

 両党の対応をよく見ると、領収書なしの使用は認めないということでは一致しているが、立憲の提案では、領収書があっても、幹部への多額の渡し切りはできなくなる。つまり、自民や維新が行っている党幹部への巨額の政策活動費の供与ができなくなるわけだ。

次のページ
自民も維新も国民目線とはかけ離れている