長打力がずば抜けている阪神の佐藤輝明

 日本球界を代表する選手たちが次々にメジャーに挑戦している。山本由伸がポスティングシステムでドジャースに移籍し、上沢直之は同システムでレイズとマイナー契約を結んだ。松井裕樹も海外FA権を行使し、パドレスに入団した。

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 ただ、メジャーの評価が高いのは「日本人投手」で、野手で挑戦する選手は多くない。スポーツ紙デスクはその背景をこう分析する。

「野手は身体能力の差が如実に出る。内野手は特に厳しい。身のこなしや肩の強さを考えると日本人野手はどうしても劣ってしまう。外野手も長打を打てなければスタメンに定着するのは厳しい。ジャイアンツとマイナー契約を結んだ筒香嘉智、メジャーで2年間プレーした秋山翔吾(広島)も思うような結果を出せなかった」

ミート能力とパワーを兼ね備える

 投打の二刀流で活躍しているドジャースの大谷翔平をのぞき、現在メジャーでプレーしている日本人野手はカブスの鈴木誠也、レッドソックスの吉田正尚の2人のみ。鈴木は移籍2年目の昨季打率.285、20本塁打、74打点をマーク。全ての主な打撃の指標で前年を上回り、メジャーでシーズン20本塁打をマークした日本人の右打者は初だった。メジャー挑戦初年度となった吉田は打率.289、15本塁打、72打点。メジャーを取材する通信員はこう語る。

 「鈴木、吉田は共に日本で首位打者を獲得するなどミート能力とパワーを兼ね備えた選手です。数字だけを見ればNPBの時より落ちていますが、十分に合格点をつけられる。吉田は昨季34四球でオリックス時代に比べて大幅に減っていることが指摘されますが、これは野球のスタイルの違いがあります。メジャーは中軸を担う選手に四球で出塁するより長打を求める傾向が強いので、打席での仕掛けが早くなる。出塁率が高い選手の評価が見直されてきていますが、打率が多少低くても長打を打てる選手が重宝されるトレンドは依然として続いています」

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外野を守れたほうがいい