「友チョコを配る人数は平均して10人以上だそうですが、百貨店を候補に入れていた女の子たちは、渡す予定の人数が一けた台で比較的少なかった。つまり1人当たりに割ける予算が多いので、単価の高い百貨店も視野に入っているということです。今回の調査では、『本命にあげるから』という理由で高額な予算を取る子はいませんでした」
重視するのは「コスパ」「SNS」
手作りが多数派となれば当然、行く先は製菓材料をそろえるスーパーになる。そのほかには100円ショップを活用するという声もあった。
「無印良品などの製菓キットを選ぶという子もいますね。手作りでもキットなら材料が残ることもないし、出来上がりのクオリティーも高い。ファッションなども効率よくお得に楽しむ世代なので、やはりここでもコスパを重視している傾向はあると思います」
疋田さんはさらに、SNSの存在も大きいと続ける。バレンタインデーに推し活をする場合、手作りのお菓子と推しを撮影してSNSにアップするまでがセット。手作りするお菓子も「インスタで流れてきて、見た目がかわいかったから」「TikTokではやっているから」などの理由で決めるケースが多いそうだ。
「インスタのストーリーで『私からお菓子をもらいたい人』を募るという子も。本命の子がほしいと言ってくれたらうれしいし、そうでなくとも友達と楽しむことはできる。当日の緊張感はなくなりますが、それも平和でいいのかもしれません。私自身はアラサー世代ですが、事前にそんなことをしてもいいんだと衝撃を受けました(笑)」
コスパ、SNSと並んで、Z世代がもう一つ重視しているものが「体験」だ。「日頃は作らないお菓子を作ってみたい」「家族や友達と一緒に手作りしたい」などという意見もあり、手作り派の多さにはこうした感覚も影響しているだろう。コロナ禍を経て、意識的に青春時代を楽しもうとしている面もあるかもしれない。疋田さんは自社の製品開発でもその点を心がけている。