海外では定年制がない国も多いが、日本では未だに「60歳定年制」が主流だ。この定年制度をやめると、日本は元気になる可能性があるという。どんな問題が解消できるのか。自律神経研究の第一人者として知られる小林弘幸医師の新著『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
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老後をやめれば日本も元気になる
私は定年制には反対です。定年制は、日本人の健康寿命を縮めているひとつの原因だと思うからです。
まだ働けるのに定年を理由にやめなければならないのは、その人の能力を無駄にし、社会にも不利益をもたらすと思います。
すでに海外では、定年制を法律で禁止している国や、廃止に向けて進んでいる国が多数見られます。
たとえば、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドには定年制がありません。アメリカの場合、1986年にADEA(雇用上の年齢差別禁止法)の改正により、一定年齢での定年退職が廃止されました。履歴書に年齢を書かせることも、法律で禁止されています。
一方、日本では、依然として「60歳定年制」が主流です。厚生労働省の発表によると、定年制を定めている企業は全体の95.3パーセント。規模が大きい企業ほど、定年制を定めている割合が高くなっています。