定年年齢は60歳とする企業が91.1パーセントと圧倒的多数で、61歳以上が8.7パーセント、65歳以上が6.2パーセントと続きます。

 勤務延長制度、もしくは再雇用制度を定めている企業は77.0パーセントと、60歳以降も働くことのできる環境は整備されつつあるものの、ほとんどの企業が「60歳定年制」を定めていることには変わりありません。

 もし、定年制度がなくなれば、間違いなく日本は元気になる可能性があります。具体的には次の4つのメリットが考えられます。

(1)人手不足の解消

 少子化によって、ますます深刻化している人手不足。定年がなくなれば働くシニアが増え、人手不足をおぎなうことができます。

(2)税収アップ

 定年がなくなると、社会の受益者だった人が支える側に回ります。現在、さまざまな分野で検討されている増税をしなくても、税収を上げることができます。

(3)個人消費が増えることによる景気回復

 定年がなくなって個人の所得が増えれば、そのぶん消費も増えます。バブル崩壊以降、低迷している日本の景気が上向くことが期待できます。

(4)社会保障費の削減

 定年がなくなることでシニアが元気になり、健康寿命が延びると考えられます。財政を圧迫している医療費、介護費などの社会保障費を削減することができます。

 このように定年制をやめると、現在、日本が抱えている問題が一気に解決へ向かう可能性があります。

 その一方で、「自分はそんなに長く働きたくない。さっさと退職金をもらってリタイアしたい」という人もいるでしょう。そういう人のために、早期退職のしくみをつくることも必要です。

 一定の年齢でバッサリ切るのではなく、長く働くか、早くやめるかを自分で決めることができる。長く働きたい人も、早くやめたい人も、どちらも幸せになれる。そんな社会になってほしいと思います。

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