熟年夫婦がうまくいくコツは、「ほどよい距離感」です。若いカップルのように、年がら年中、ベタベタする必要はありません。それよりも、いい意味で「家族」になることが大切です。

 もし若いカップルのような胸がときめく関係だったら、交感神経が高まりすぎて、リラックスすることができません。そんな生活が続いたら睡眠の質も下がり、コンディションも悪くなるでしょう。

 熟年夫婦にとっては、気を遣わず、落ち着くことのできる関係を目指すことが大事なのです。

 そんな生活の中でも、感謝を伝えることは忘れないようにしてください。ちょっとしたことでも当たり前と思わずに、「ありがとう」を必ず言う。それだけでも、夫婦関係はよくなります。

 緩和医療医の大津秀一さんは、死ぬときに後悔することの一つに「愛する人にありがとうと伝えなかったこと」を挙げています。

 人生はいつ、何が起きるかわかりません。いざというとき後悔しないよう、結婚記念日などの節目で、これまでの感謝を伝えることも大事です。

 直接、伝えるのが照れくさければ、手紙を書いてみるのもいいでしょう。ここでのポイントは、下手でもいいので必ず「手書き」で書くこと。気持ちが伝わればもちろん、自律神経のコンディションも整います。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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