ピンクのドレスでポーズを決める菜桜さん/由美さん提供

 菜桜さんに対し好意的な声もある一方で、「ウォーキングが下手」「もっとちゃんとできないのか」などといった投稿を目にすることも多くある。だからこそ、由美さんは「ダウン症という障害のある菜桜がどのくらい努力をしているのか、きちんと伝えていかなければ」と思ったという。

筋肉や体幹が弱い

「ダウン症を知っている人からすれば、ピシッと背筋を伸ばして立って、まっすぐ歩くというだけですごいことなんです。筋肉や体幹が弱く、背になりやすいのは、ダウン症の特徴なのですが、一般の人にはそれがなかなかわからない。華やかな面だけではなく、ダウン症の子がモデルを続けていくことの大変さも発信していこうと決めたんです」

 菜桜さんは、日々、モデルとしての技術を磨いている。ウォーキングやポージング、視線が泳がないよう訓練したり、顔の向きや手の使い方を学んだり、細かいところにも気を使い、鍛錬を続けている。

 由美さんは「菜桜にはモデル活動を続けさせてあげたい」と言う。それは、菜桜さんが続けたいという意思を強く持っているからだ。

「菜桜がやりたいと言っている間は続けさせてあげたい。そのために必死です」

 菜桜さんに夢を尋ねた。

「みんなが笑顔になれるモデルになりたい!」

 こぼれるような笑顔でこう答えてくれた。

「自分が舞台に立って、目の前でみんなが笑っているのが、うれしいんだと思います。私たちにはわからない光景が彼女の前には広がっているんでしょうね。本当に楽しんでいるみたいで、私が『やめる?』と聞いても『嫌だ!』って即答しますから」(由美さん)

 菜桜さんはこれまで多くのランウェイを歩いてきた。だが、由美さんはいまでもファッションショーは不安で仕方ないという。

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きょうだい二人は看護師に